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ハイスピードカメラの正しい知識と選び方を徹底解説

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ハイスピードカメラの正しい知識と選び方を徹底解説

一秒間に数千枚以上の画像を撮影することで、高速現象を捉えられるのがハイスピードカメラです。

通常のビデオカメラとスペックや操作方法が大きく違うので「選び方が分からない」という人も多いのではないでしょうか。

本記事では、ハイスピードカメラを取り扱う専門商社であるノビテックのハイスピードカメラ担当者が、これからハイスピードカメラを使ってみたい人に向けて丁寧に解説します。

それにより自分の使用目的にあったカメラを選定できます。

株式会社ノビテックロゴ

この記事を書いているのは:株式会社ノビテック

 

ノビテックはハイスピードカメラPhantomの国内代理店です。
これまでカメラを輸入してきた実績と知識から現場に近い目線で解説します。


ハイスピードカメラ(高速度カメラ)とは

ハイスピードカメラ(高速度カメラ)とは、一般的には1,000fps以上の撮影ができるビデオカメラの事を指します。

fpsとは1秒間に何コマの撮影を行っているかを表す単位で、通常のビデオカメラは30fpsもしくは60fpsです。

最近ではスマートフォンなどの民生用カメラでも、ハイスピード撮影機能が付いているカメラがあります。


普通のカメラと業務用ハイスピードカメラの違い

民生用カメラと、業務用ハイスピードカメラとの大きな違いは、画像圧縮を行っているかどうかです。

民生用カメラでは画像圧縮を行っているため、画像の鮮明さが劣化し、正確な計測、解析を行うことができません。

業務用ハイスピードカメラは画像圧縮を行っていないため、計測、解析が可能となります。

さらに民生用カメラでは、最高でも1,000fps程度ですが、業務用ハイスピードカメラでは数万~数十万fpsの撮影が可能です。

産業・研究開発用

一般的に産業・研究開発では、モノクロのハイスピードカメラが使用されます。

カラーと比べるとモノクロの方が明るく、鮮明な画像が撮影できるため、画像計測、解析に適しています。

一方で燃焼や、製品試験などの色情報が必要な場合はカラーのハイスピードカメラが最適です。

撮影速度は、数千fps~数十万fpsと速い撮影速度が求められます。

必要な画素数や撮影速度に適したモデルが選定されます。

映像制作用

CMや映画、TV番組等の映像制作現場では、カラーのハイスピードカメラが使用されます。

撮影速度は300fps~数千fps、特に1,000fpsで撮影される場合が多いです。

映像制作では、フルHDや4Kなど、画素数の規格があるので、それに対応した4K、フルHDのカメラが最適です。

また、画質や色味にこだわったモデルが人気です。

4:4:4 12bitに対応している機種なら、通常のシネマカメラと同じように色作りの幅を持たせて撮影できます。

ハイスピードカメラの選び方

ハイスピードカメラのスペックは、主に5つのポイントが選ぶ基準になります。

 

撮影速度(フレームレート)

フレームレートは1秒間に何枚の画像(フレーム)を撮影しているかを示す単位で、fps(frame per second)またはコマ/秒と表記します。

動画は、静止画像の連続で構成されていて、パラパラ漫画のように再生していくことで動画となります。

たとえば30fpsの動画なら1秒間に30枚の画像を並べて連続表示させています。

撮影速度はハイスピードカメラの機種選定において、重要な要素のひとつです。

撮影する現象や動きをどれくらい細かく(スローで)撮影できるかが、カメラの性能を示す指標となるからです。

ハイスピードカメラは、撮影速度により大きく金額や性能が異なるため、自分が撮影したい内容に合わせた機種選定が必要です。

高いフレームレートを得るには2つの方法があります。1つは解像度を下げる方法です。

例えば1,280 × 800ピクセルで10,000fpsが撮れるカメラの場合、解像度を640 × 400ピクセルに下げると40,000fpsで撮影できるなど、解像度を犠牲にすることで高速撮影が可能です。

もう1つは高いセンサー性能をもつカメラを使うことです。

より高性能なセンサーであれば1秒あたりに撮影できる枚数が増加します。

解像度

解像度とは、ディスプレイや、動画等のデジタル画像の精密さを表すものです。

画素とは画像の最小単位で、ピクセル(pixel)とも呼ばれます。

例えば、解像度が1,280×800であれば画素(ピクセル)が横に1,280、縦に800個並んで表現されていることになります。

この解像度が大きいものを一般的に高解像度と呼び、フルHD、2K、4K、などと表現されます。

高解像度であるほど被写体を細かく繊細に表現できます。

ハイスピードカメラの選定においても、解像度は重要な要素となります。

解像度が大きくなれば、被写体を高精細に観察することが可能になり、画像解析の計測精度を高められます。

デメリットとしてはデータ容量が大きくなり、1秒間に撮影できる枚数が下がります。

逆に解像度を小さくすると、撮影速度を速くできます。

カメラ感度

ISO感度とは、画像を撮影するときにどれだけ明るく撮影できるかを示す指標です。

フィルムカメラ時代のフィルム感度を、最近のデジタルカメラの感度に置き換えたもので、ISO感度16,000やISO感度100,000と表現されます。

このISO感度の数値が高いと、少ない光量でより明るく撮影ができるようになります。

ハイスピードカメラの選定においてもISO感度は重要な要素の1つです。

1秒間に数千~数万コマの撮影を行うハイスピードカメラでは、時間を細かく分割し撮影することから、光を取り込む時間に制限があります。

そのためISO感度が高いカメラを使用することで明るく、鮮明な画像を撮影できます。

また自発光する現象の撮影などは照明を使用できないため、カメラ感度の高さも重要な要素です。

シャッタースピード(露光時間)

露光時間とは、カメラが光を取り込んでいる時間のことで、シャッタースピードとも言います。

露光時間を短くすると、イメージセンサーが光を取り込む時間(露光)が短くなり、長くすると光を取り込む時間は長くなります。

光を取りこむ時間が長ければ長いほどイメージセンサーはより明るい画像を作りだせますが、被写体がその間に動いている場合、その動きの様子も1つのシャッターの間に記録するので、ブレのある画像として写し出されます。

身近な例では、流れ星の撮影などではわざと露光時間を長くすることで綺麗に流れるような星の撮影を行っています。

ハイスピードカメラでの計測撮影においては、ブレのないシャープな画像を撮影することが求められます。

そのためには短いシャッター速度に設定する必要があります。

最適な露光時間を調整し鮮明な画像を撮影することで、計測の誤差や解析エラーを低減できます。

カラー・モノクロ

ハイスピードカメラにはモノクロ、カラーがあります。

モノクロカメラは入射した光をイメージセンサー(受光素子)に受光し、その光の強弱で黒から白までを0~4,095の階調(12ビット)で表現します。

センサーに直接入射光を取り込むことができるので高感度でシャープに撮影できます。

研究開発、産業分野では色情報が不要な場合はモノクロカメラが使用されます。

一方、カラーカメラはイメージセンサーの表面に「ベイヤーフィルター」と呼ばれる光の三原色R、G、B(レッド、グリーン、ブルー)フィルターが配列されています。

その3原色の情報を補完することにより、カラー画像を生成します。

色情報が重要な可視化計測においてはカラーカメラが向いていると言えます。

半面、カラーカメラはベイヤーフィルターを通して撮像をすることから、取り込む光量の減衰が起こるため、モノクロカメラよりもカメラ感度が低くなります。

さらに、近傍のピクセルの色情報を補完して、ひとつのピクセルのRGBの値を生成しているため、空間分解能が落ち、画像の精細さが低下します。

その他選ぶときのポイント

その他に、以下の3つもチェックしましょう。

 

データ転送方式

多くのハイスピードカメラはカメラ内部のフラッシュメモリに保存し、そのデータをイーサネットを介してPCに保存します。

ハイスピードカメラで撮影した何千枚、何万枚の画像は数十~数百GBと膨大なデータ量になることが多く、保存のための通信速度の速さは重要な要素になります。

10Gbitイーサネットを搭載したカメラなら、保存待ち時間を1/10以下に短縮でき、スムーズに実験を進められます。

メモリ容量

ハイスピードカメラで撮影されたデータは、カメラ内部に搭載されたメモリに一時保存されます。

撮影時間は解像度、フレームレートによって決まるので、メモリの容量が多いほど長時間の撮影が可能になります。

観察したい現象の時間に応じて最適なメモリ容量を選択することが大切です。

レンズマウント

レンズマウントとは、カメラとレンズの結合部のことで、メーカーや用途によって異なります。

ハイスピードカメラでは以下のマウントが一般的です。

  • Fマウント・・・ニコンレンズ用のマウントです。シャープな画像が撮影されるためハイスピードカメラで一般的に使用されています。
  • Cマウント・・・顕微鏡や局所的な撮影に使用するマイクロスコープレンズなどに使用されています。
  • EOSマウント・・・遠隔でのピント調節、絞り調節が可能なキヤノンレンズ用のマウントです。
  • PLマウント・・・映像業界で主に使用されるシネマレンズ用のマウントです。

使用する用途や環境、目的に応じて多種多様なレンズマウントから選択します。

ハイスピードカメラの撮影例

本項目では、ハイスピードカメラの撮影例を3つ紹介します。

モノクロ撮影事例

一般にハイスピードカメラはモノクロ撮影が適していると言われます。

モノクロのハイスピードカメラのほうがカラーハイスピードカメラと比べて、約4~8倍明るく撮影ができ、空間分解能も高いです。

以下のような流体現象の解析においても、低ノイズなモノクロカメラを用いることがほとんどです。

https://www.nobby-tech.co.jp/media/highspeed/casestudy/piv-airflow

色情報の必要性が特になければ、モノクロ撮影をおすすめしています。

バックライト照明(影絵)のキャビテーションでは、4,096階調で表現される白と黒の情報で、知りたい情報のほとんどを得ることができます。

https://www.nobby-tech.co.jp/media/highspeed/casestudy/cavitation_TMX7510

カラー撮影事例

カラー撮影は、被写体の色情報を知るために有用です。

燃焼の火炎の状況は、カラー撮影での色味の再現性、鮮明さが評価を分けるポイントとなります。

また、この色情報から温度計測等が可能となります。

https://www.nobby-tech.co.jp/media/highspeed/casestudy/ammoniacombustion

加えて、放電現象もカラーでの撮影事例が多いです。

カラーカメラは、先ほどの説明通りモノクロセンサーの表面にベイヤーフィルターを配しているため、空間分解能が低下します。

放電現象のように、高いフレームレートにすることで画素数が落ち、結果低解像度で鮮明さが落ちることに繋がります。

https://www.nobby-tech.co.jp/media/highspeed/casestudy/spark_discharge_TMX7510

超高速撮影事例

ゴルフボールのインパクトの際の画像解析は、924×768の高解像を200万fpsという超高速で撮影するため、モノクロカメラのKiranaが最適な機種となります。

以下はその画像をDIC(画像からひずみ算出)解析した事例となります。

https://www.nobby-tech.co.jp/media/highspeed/casestudy/dic-golfball

ハイスピードカメラPhantomのおすすめ機種3選

ここからは、当社が取り扱うハイスピードカメラPhantomのおすすめ機種を紹介します。

Phantomは、アメリカのAmetekグループVisiron Research社製のハイスピードカメラで、世界トップシェアを誇ります。

用途に応じた幅広いラインナップが最大の特徴です。

本記事では3つのカメラを紹介します。

 

撮影速度が高いフラッグシップ | Phantom TMX 7510

Phantom TMX

Phantom TMX 7510は、裏面照射型センサーを採用した業界初のハイスピードカメラです。

裏面照射型センサーを実装することで、Phantomの特長である超画素質を維持しつつ、今までにない超高速撮影が可能なカスタムセンサーを開発しました。

裏面照射型センサーを実装することで、高感度ISO 125,000(モノクロ)を実現しました。

1,280×800ピクセル、100万画素で76,000fpsの超高速度撮影が可能です。

最高撮影速度は1,280x32ピクセルもしくは640x64ピクセルで175万fpsです。

ガラスのクラックや亀裂伸展、衝撃波・超音波、キャビテーション・噴霧などの撮影に使用されます。

また、顕微鏡など狭い視野での撮影にも使用され、PIVやDICの画像解析にも最適です。

フラッグシップハイスピードカメラ Phantom TMX 7510 / 6410 / 5010-株式会社ノビテック


感度が高く、低ノイズ | Phantom VEO 1310

Phantom VEO1310
Phantom VEO 1310は、小型・高速度・高感度とバランスの取れた機種です。

黒画像と実画像の2枚の撮影を繰り返し、毎フレームノイズ除去を行うCDS機能によって、低ノイズ、高ダイナミックレンジの撮影が可能です。

撮影速度は1,280×960ピクセル時10,860fpsで、最大423,350fpsの高速撮影も可能です。

また、超高感度センサーの搭載により、従来機よりも数倍高感度です。

画像解析を行う際によく使用され、画像から流速を計測する「PIV」や、画像からひずみを算出する「DIC」といった画像解析が高精度に行えます。

ハイスピードカメラ Phantom VEO 1310/VEO 1010/VEO 610-株式会社ノビテック

軽量、小型で対G | Phantom Miro C321


Phantom Miro C321は、カメラ本体が73×73×82.2mmと小型で重量も540gと非常に軽量です。

170Gの耐G仕様で、画像記録メモリはもちろん、バックアップ電源、バックアップメモリも内蔵しています。

撮影速度は、1,920x1,080ピクセル時1,480fpsで、最大94,510fpsの撮影が可能です。

また、感度はISO25,000(モノクロ)の高感度です。

ハイスピードカメラ Phantom Miro|小型・耐Gモデル-株式会社ノビテック

まとめ

本記事では、以下の5つのポイントからハイスピードカメラについて解説しました。

 

 

当社は画像計測に特化した専門商社として、画像に関するお悩みを解決します。
ご不明な点がありましたら、お気軽にご連絡ください。

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