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EMVAはなぜISO感度より優れているのか

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EMVAはなぜISO感度より優れているのか

本記事では、ハイスピードカメラにおけるセンサー性能について、従来の"ISO感度"を基準にするのではなく、EMVA1288を基準にするべき理由について解説します。

なぜEMVAはISOより優れているか?

ISO12232は50年にわたり撮影業界で普及してきましたが、カメラの機能を主観的かつ不完全にしか表示できません。

ISO12232はもともと、フィルムカメラ感度とデジタルセンサーを比較するために開発されました。

ISO数値が高ければ高いほどカメラのセンサーの感度が高いという前提でハイスピードカメラ業界では、感度を測定する手法としてすぐに導入されました。

ですが、サチュレーションを基準にしたISO12232で得た数値は、感度を表すわけではなく、どれだけ速く飽和(サチュレーション)するかを表します。

低照度撮影時にCMOSセンサー使用するハイスピード撮影のためにこのような誤解を解かなければいけません。

例えば、ハイスピード撮影の露光時間は短いです、なのでセンサーに光が当たる量は制限されます。暗所又は爆発の様に明るい現象の時、光の影響により激しく変動します。

複雑な照明環境では、感度に対しての考え方を変えなければいけません。デメリットの多いいサチュレーションに基づくISO12232は電子に変換される入斜光子数でピクセル単位の感度を測らない仕様となっています。

EMVA1288標準は明確で統一された定量的なカメラセンサーの機能を表します。EMVA1288レポートには以下のことが記載されています:

  • 制限された状況で得た計測結果
  • 信頼性の高い正確な計測工程
  • データ表示ガイドライン

これらにより、低照度ハイスピード撮影中のカメラとセンサー性能を正しく数値化することができます。

ISOのデメリットを詳しく説明

暗所でのカメラ機能を測るためISO12232は分光感度特性やダークノイズは考慮されていません。低照度環境にて、ISO数値の低いカメラは高いカメラより優れています。

低照度撮影において重要な量子効率や画素範囲やフィルファクタ―やダークノイズを考慮に入れず、ISO数値のみでカメラセンサー感度を定量的に測るとこのような矛盾が発生してしまいます。

 

ISO12232はサチュレーションを基にした計測方法です。下記の数式を使います:


 

ISO数値は実際の感度ではなくサチュレーション到達速度、いわゆる「見た目の感度」です。

カメラメーカーは「見た目の感度」を上げるためにセンサーの設定を行いFWCを下げ、下位ビットのみを表示します。この方法は画像を明るくするのみで、センサーの光子を電子に変換する機能ではありません。

 

 

下記はISO12232の高速撮影時の画質や感度に関するデメリットです。

ISOはノイズを反映しない

ISO標準はノイズから画像の細部を認識するカメラの機能を考慮していません。カメラユーザーはダークノイズやASTなどの重要なカメラセンサー機能を参考にすべきです。

このような測定基準は低照度でカメラの画質を計測する際とても重要です。

例えば、ASTはノイズから有益な画像情報を差別化するためカメラに必要な最低限の光子数を表します。ASTの値が低ければ低いほどカメラの感度が高まります。

ISOはデジタルゲインによって調整されやすい

このような調整はS/N比とダイナミックレンジを下げてしまいます。

カメラ製造者はISO標準に対してのS/N比とダイナミックレンジを報告しないので、このようなトレードオフはカメラを比較する際に考慮されていません。

四捨五入するとISO数値は増加する

ISOはフィルム速度に基づいているので、製造者は実際計測されたISO数値を四捨五入するよう指示されています。

これにより三分の一Fストップ増加されてしまいます。なので、ISOで感度を測る際、正確な光子レベルの計測ができません。

タングステンと太陽光のISO仕様はすべてのケースを表さない

ISO数値の光源はタングステンか太陽光です。タングステン光源を使うモノクロームカメラには赤外線フィルタが少ないので、より高度な仕様を持っています。

報告された数値は主に光源を指定していますが、大体の場合記載されていません。

そして、タングステンや太陽光のスペクトラムにあっている波長を使っているハイスピード撮影はあまりありません。

EMVA1288を紹介

低照度撮影時のハイスピードカメラの感度を測る際、ISO12232標準のみを使用すると矛盾が多々発生してしまいます。なので、こういった状況にEMVA1288を使います。

EMVA1288とはヨーロッパマシンビジョン協会で開発された測定標準です。この標準は、科学的アプローチによって産業用デジタルカメラのセンサーの性能を特徴付けるために開発されました。量子効率やフィルファクタ―やダークノイズなどの低照度指標を考慮したセンサーの機能を完全に網羅しています。

カメラメーカーがレポートを発行するために必要なテストパラメータやカメラ機材が記載されています。これによって、カメラユーザーが統一された撮影の質を理解することができます。結果的に、ユーザーはハイスピードカメラ撮影の用途に最も適しているモデルを選択するための比較ができます。 

カメラ単体の仕様は特別な場合に役立つかもしれませんが、仕様とあわせるとカメラが高画質撮影できることを確認することができます。カメラメーカーはこの仕様とEMVA指定の機材や計測方法が記載されているレポートを提出しなければなりません。再現試験時にカメラから得た基本情報もレポートに記載しなければなりません。


EMVA1288レポートを使ってHSユーザーは下記のことを知ることができます。:

  • 画素の大きさ、解像度、シャッタータイプ(グローバル・ローリング)を含むセンサーの仕様
  • カメラ撮影速度、露光、環境情報、レポートに使用された光源の波長を含むテストパラメータ
  • 光子変換カーブ、量子効率、システムゲイン、ダークノイズ、AST、飽和容量、ダイナミックレンジなどの正式EMVA1288計測結果
パラメータ 単位 詳細
量子効率 % 特定の波長で電子に変換される光子の比率です。高いQEは高感度を意味します。特定の波長で正確なQE数値を知るにはセンサーのspectral response curve(波長感度特性)を参照することをお勧めします。EMVA QE数値はフィルファクタ数値を含みます。
ダークノイズ e- 又は読み出しノイズ。センサー(レンズキャップ装着時など)に入射光がないときに画像にみられるノイズです。低い数値は広いダイナミックレンジ、低照撮影および解析時の画質が向上することになります。
S/N比 dB ノイズ値に対する信号値の比率。高い数値はシグナルの高品質を意味し、照度に起きる小さな変化を検知することができます。
AST P ノイズに埋もれずに信号データを認識できる画素に必要な最低光子数。数値が低ければ低いほど、入射光が少ない撮影でも、画像として認識できるデータを表示することができます。
飽和容量 Ke- Full Well Capacity (FWC)ともいいます。画素が溜めることのできる電荷量のことを言います。高い数値はセンサーの高いS/N比、つまり高いダイナミックレンジを意味します。Photon-shot noiseの為、S/N比はFWCの平方根と連動します。
ダイナミックレンジ dB 読み出しノイズに対するサチュレーションレベル信号(又はFWC)の比率。暗所の細部などの画像のグレースケールを詳細に認識できます。高いダイナミックレンジの数値は、高画像撮影ができることを意味します。12ビットの画像は最大72 dBのダイナミックレンジを持っています。


EMVA1288標準で低照度撮影を調査

ハイスピードカメラの見た目の感度を測るISO12232と違って、EMVA1288は実際の感度と特定の波長の光に対しての応答性を測ります。

EMVAレポートを見てカメラモデルを比較すると、最も良い低照度センサーは最も高い応答性と低いASTを持っています。

優れたユーザーは入射光子量や分光感度、ダークノイズデータを計算し、計測しますが、EMVAではこの工程をより速く、簡単に知ることができます。優れた低照度カメラセンサーはかなり低いAST数値を持っています。

ASTは光子の量子性を基にする量子効率、ダークノイズとショットノイズを合わせたもので、低照度撮影用のカメラを選ぶ際、量子効率性のみではなく、ASTを参照すべきです。

まとめ:EMVA1288を使い始めるには

ISO12232は低照度撮影には適しておらず、調整されやすいため、実際の性能を正確に測ることができません。ISOは低照度撮影に適していなく、数値が自由に調整されやすいうえに四捨五入され、間違った数値をだし、結果的に実際のハイスピードカメラの性能を測ることができません。

現在、当社取扱のハイスピードカメラPhantomを製造するVision Research社はカメラのデータシートにEMVA仕様を掲載しており、ユーザーはカメラを正しい目線で選択することができます。

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