ゴルフボールがインパクトを受ける瞬間には、肉眼では捉えられない高速かつ複雑な変形が発生しています。今回、当社ではハイスピードカメラ Phantom TMX 7510 を用い、76,000fps という超高速度でゴルフボールの打撃瞬間を撮影しました。さらに、非接触ひずみ解析ソフトウェア Mercury によって、表面のひずみ分布を定量的に可視化することに成功しました。
解析から得られる知見
ゴルフボールは内部のコア材質や多層構造、ディンプル形状など、性能に直結する要素が複雑に組み合わされています。インパクト時のひずみ挙動を解析することで、以下の知見が得られます。
①エネルギー伝達効率の把握:ボールがどの程度効率的にクラブからのエネルギーを受け取っているか。
②耐久性・寿命評価:繰り返し打撃による素材疲労や破損メカニズムの予測。
③性能設計の最適化:飛距離、スピン性能、打感などに直結する構造改良への指針。
DICひずみ解析の可能性と応用分野
今回のようにハイスピードカメラとDICひずみ解析を組み合わせることで、従来は定性的にしか評価できなかった現象を数値化・可視化することが可能になります。本事例はゴルフボールを対象としていますが、同様の手法は自動車部品や航空材料、さらには医療分野における生体材料評価にも展開が期待されます。