カムアウト現象とその課題
自動機や手作業によるネジ締め工程では、ドライバーがネジの十字穴から浮き上がる「カムアウト」現象が発生することがあります。
カムアウトは、適切な締結トルクが得られないだけでなく、ネジ頭の破損や、削れた金属粉(鉄粉)の飛散による周辺部品へのコンタミネーション(異物混入)といった問題を引き起こします。
高速現象の可視化の重要性
このカムアウトが発生する瞬間や、それに伴い飛散する微細な金属粉の挙動は、極めて高速な現象です。
肉眼や通常のカメラでは、ドライバーのビット形状、回転速度、押付圧、ネジとのかみ合い角度といった要因が、どのように現象を引き起こしているのかを詳細に把握することは困難です。
特に微小な金属粉の飛散を捉えるには、高いフレームレート(撮影速度)に加え、高い解像度や感度を持つハイスピードカメラによるスローモーション撮影が有効です。
本事例における可視化の成果
本事例では、プラスネジの締め付け時にドライバーが空転し、ネジ頭を削りながら(舐め)、微細な鉄粉が周囲に飛散する様子を明確に捉えています。
この映像を解析することで、カムアウトが発生する正確なタイミングや、金属粉の飛散方向、速度、量を評価できます。
これらのデータは、ドライバービットの摩耗管理、トルクや回転速度の最適化、押付力の調整など、歩留まりの改善や品質管理の高度化に向けた具体的な対策を講じるための基礎資料となります。






