合成樹脂容器の落下時の挙動の可視化
ハイスピードカメラ Phantomによる合成樹脂容器の落下時の挙動の可視化
プラスチックペール缶の落下試験のハイスピードカメラで撮影した画像です。ハイスピードカメラで確認することにより、蓋割れや蓋外れのメカニズムを解析し、落下時の上蓋の挙動を鮮明に捉えることが出来ます。
落下試験
潤滑油や塗料、溶剤などの液体を入れ運搬・貯蔵に用いられるペール缶や段ボールなどの包装・梱包資材などの製品開発において、性能評価のため落下試験や衝突試験、振動試験等行われます。包装紙物が流通過程で起きる落下や誤った取り扱い中の落下、角やエッジ部からの落下の際に製品が受ける衝撃や影響を評価し、製品開発、研究が行われます。自動車業界では、実車を用いた事故・衝突安全実験やスレッド試験で衝撃試験を行い、安全性能評価が実施されています。
本事例は、液体を充填した状態のプラスチックペール缶の落下試験の撮影事例です。ペール缶の上蓋が落下時に変形していく様子が鮮明に捉えられています。落下試験や衝撃試験において、短い時間の間にさまざまな変化が起こります。通常のビデオカメラ撮影では、撮影速度が30コマ/秒のため、落下瞬間の様子を鮮明に捉えることが難しくなります。本事例では、3,000コマ/秒で撮影しているため、落下瞬間の様子が細かく記録されています。落下の衝撃で、製品が破損しないか、固定治具類が欠落しないかなどの性能評価を視覚的に評価することで、より精巧な製品開発や研究につなげられる可能性があります。
落下試験や衝撃試験では、試験時の振動などの影響を受ける場合もあります。振動などの影響を受けずに撮影ができるハイスピードカメラが要求されます。本事例の製品では耐衝撃性30Gを有し、カメラ本体重量1.8㎏、125mm立方以下の小型ボディのため設置場所を選ばず、様々な場面に対応することが可能です。鉄球や木材をガラス板などへ落下・衝突させる試験では、ガラスなどが飛び散る様子もハイスピードカメラであれば捉えることができます。
また、より細かな画像を取得できれば、ソフトウェアを使用することで、落下物本体や落下時に破損し飛び散った固定治具部品などの追尾計測や落下によるひずみ・変位計測(DIC計測:Digital Image Correlation)を解析することも可能です。
今回は、弊社取り扱いの現行Phantom VEO-E 310L相当機種を用いたプラスチックペール缶の落下試験を撮影した動画を紹介します。
使用機材
ハイスピードカメラ Phantom VEO-E 310L モノクロ相当機
撮影条件
・画像数:1,024 x 800ピクセル
・撮影速度:3,000コマ/秒
・露光時間:1μ秒
高輝度メタルハライド照明
撮影条件
・撮影条件 出力:250W
・光源:メタルハライド
結果説明
プラスチックペール缶の落下試験の画像です。液体を充填した状態で落下させ、上蓋が破損したり、外れないように製品開発を行いました。ハイスピードカメラで確認することにより、蓋割れ、蓋外れのメカニズムを解析し、製品開発に結び付けました。落下時の上蓋の挙動を鮮明に捉えることが出来ます。
ノビテックでは落下試験、衝撃試験に適したハイスピードカメラのラインナップ各種を取り揃えております。各種デモやオンラインでのご相談も承っておりますので、こちらよりお気軽にご相談ください。