事例概要
製造現場で使用されるグラインダーは、その高速回転によって金属材料を効率的に研磨・切断する重要な工具です。しかし、その高速性ゆえに、以下のような問題が発生することがあります。
グラインダーにおける課題
- 異常振動の発生: 高速回転中に発生する微細なバランスの崩れや部品の摩耗が、目視では捉えられない異常振動を引き起こし、加工精度低下や工具寿命短縮の原因となる。
- 火花・切削屑の飛散挙動: 高温・高圧下で発生する火花や切削屑の飛散挙動は、作業者の安全確保や周辺機器への影響を評価する上で重要な要素だが、通常のカメラではその詳細な動きを捉えられない。
- 砥石の摩耗状態: 砥石の摩耗は加工品質に直結するが、高速回転中の摩耗状態をリアルタイムで詳細に観察することは困難。
これらの課題に対し、従来の一般的な動画撮影では捉えきれない高速現象を可視化し、詳細な挙動を解析する必要がありました。
ハイスピードカメラによる可視化と効果
本事例では、高解像度ハイスピードカメラPhantom KT1640カラーを用いて、4500fpsでカラー撮影を実施し、グラインダーの回転挙動の可視化を行いました。この高速度撮影により、肉眼や通常のカメラでは捉えられない回転軸や本体のわずかなブレ、振動を高精度で捉えることが可能となりました。
追加の解析可能性と応用
今回は行いませんでしたが、実際に切削を行うことで、グラインダーがワークに接触した瞬間の火花の発生、切削屑が飛び散る軌跡や速度をカラーで鮮明に記録し、その挙動を解析することも可能です。これにより、安全対策や集塵効率の改善提案を行える可能性もあります。
また、砥石の摩耗状況を詳細に観察することで、適切な交換時期の判断やメンテナンス計画の最適化に繋がります。