1. HOME
  2. メディア
  3. 三次元動作計測
  4. 振動計測とは?振動の定義からセンサー種類まで解説

振動計測とは?振動の定義からセンサー種類まで解説

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
振動計測とは?振動の定義からセンサー種類まで解説

「振動」は品質や安全性、最終的には利益に大きな影響を与える因子の1つです。

本記事では、振動を計測の観点から解説します。

株式会社ノビテックロゴ

この記事を書いているのは:株式会社ノビテック

 

ノビテックは画像計測の専門商社です。長年の計測技術提供の知識から、計測に関することをわかりやすく解説します。

振動計測とは?

本項目では、振動に関する基礎的な部分を以下の3点から解説します。

 

 

振動の定義

物質の状態が一定に定まらず、揺れ動いてしまう現象です。

様々な現象にて発生するため、物理学では基本的な1つの概念として扱われます。

JIS B 0153:2001では、「ある座標系に関する量の大きさが平均値より交互に大きくなったり小さくなったりするような変動。通常は時間的変動である。」と定義されています。

なぜ振動が発生するのか

物体に何らかの力(押す力、引く力など)が作用したとき、その物体は元の位置や状態に戻ろうとします。

この「元に戻ろうとする力」が働くため、振動が発生します。

振動の基本的な用語

振動数(周波数): 一定の時間内に何回振動するかを示す数値です。単位はヘルツ(Hz)で表されます。通常は、1秒間に振動する回数を指します。

振幅: 振動する物体が移動する最大の距離です。大きな振幅は大きな揺れを意味します。

波長(周期): 一回の完全な振動にかかる時間です。周期が短いほど、振動は速くなります。

 

 

どのような場面で振動計測が行われる?

振動計測の場面はいくつかありますが、特に多い工業・建築分野での場面をピックアップして解説します。

振動計測は、とくに

 

 

で多く行われています。

建設現場

 

建設現場では様々な機械や装置が稼働しており、振動が装置や建物の耐久性・信頼性に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、事前に振動をしっかりと計測することが重要です。

計測によって早期に異常の兆候を見つけることができ、それによって故障を未然に防ぐ対策を講じることが可能になります。

さらに、振動の計測とそれに続く適切な保全作業を行うことで、後々に発生しうる高額な修理費用や交換費用も削減することができます。

 

また、建設現場で発生する振動や騒音は、住民の健康に影響を及ぼす可能性も考えられます。

特に大規模な建設現場では、道沿いに設置される電光掲示板で振動と騒音レベルをリアルタイムで表示しています。

これによって、現地で作業が行われていることを周知し、同時にその影響を低減するための情報を提供することができます。

さらに、異常なレベルの振動や騒音が検出された場合には、速やかに対応することも可能です。

製造業の生産現場

 

製造用の機械の健康状態を知るために、振動を計測しています。

振動を解析することで、生産機械の状態をいち早く判断することができ、問題箇所や原因も把握することができ、修理等にかかるコストを最小限に抑えることにつながります。

機械が正常に動作しているかどうかを判断する基準の一つが、その振動パターンです。

通常運転時に一定の振動パターンを示す機械が、突然そのパターンから外れた場合、何らかの異常が発生している可能性が高くなります。

これによって、異常発生の早期発見と対処が可能となり、大規模な機械故障や生産停止を未然に防ぐことが可能です。

 

また、振動計測を通じて機械の稼働状態を把握することで、メンテナンスの最適なタイミングを見極めることができます。

例えば、振動のデータが一定の基準を超えたりビビリが発生している場合場合、その時点で部品の摩耗が進んでいる可能性が高いと考えられます。

製品の評価試験

 

製品の振動特性などを知ることで、品質の向上につなげることができます。

例えば電子製品や乗り物などは、その耐久性や性能、安全性を評価するために振動特性を調査することが一般的です。

振動特性の評価は、製品がさまざまな運用環境でどれだけ堅牢であるか、またどれだけ長持ちするかを判断するための重要な指標となります。

 

例えば、スマートフォンやパソコンなどの電子製品では、振動によって内部のパーツが損傷する可能性があります。

このようなリスクを事前に評価し、必要な改善を加えることで、製品の品質と信頼性を向上させることができます。

内容としては、振動の周波数、振幅、波形などが主に分析されます。

これらのパラメータが製品の性能や耐久性にどのように影響するかを理解することで、設計段階での改善や、製品の品質保証が行いやすくなります。

振動が製品に対して及ぼす影響を測定することにより、仕組みの改善や、材料の変更などが可能となり、品質の向上につなげることができます。

 

 

振動センサーの計測方式と用途

振動計測にはセンサーが必要ですが、本項目では、特に使われている3つのセンサーをピックアップして解説します。

圧電素子式

圧電素子に圧力がかかると電圧に変化し、その電圧の周期を計測していく手法です。

主に加速度センサなどに使用されています。

特徴としては、小型で比較的安価なことが特徴であり、ほかの方式と比べて高感度であることから多くの場面で採用されています。

建設では地盤検査や構造物のモニタリングなど、大規模な場面で使われている一方、機械の振動検査や製品の振動特性の評価や医療用の心拍センサーなど、細かな場面でも使われています。

渦電流式

過電流式の振動センサーは、電流を流したコイルと磁石を用いて動きを検出します。

このコイルが動くと、磁場が変化し、その変化が電流として測定されます。

動いた距離や速度に応じて、生成される電流の量も変わります。

これを利用して変位量から振動の大きさや周期を測定します。

磁力を用いて計測するため接触面が存在せず、耐久性が高いことに加え、計測対象への影響を低減できることがメリットです。

一方で他の電子機器から発せされる磁場による干渉を受けるデメリットがあるため、設置場所には注意が必要です。

レーザードップラー式

レーザードップラー式振動計測は、ドップラー効果を利用して対象物の振動を非接触で高精度に計測する手法です。

この方式は、建設現場での構造物の健全性評価や、工場内の精密機械の振動診断、さらには製品の高精度な振動テストに用いられます。

この計測方式の大きなメリットはその高精度性と非接触性です。

特に微小な振動も正確に計測でき、物に触れることなく測定が行えるため、摩耗のリスクが極めて低いです。

また、高速なデータ収集が可能なため、瞬時の振動変化も捉えることができます。

設置も比較的容易で、特定の方向にレーザーを照射するだけです。

 

 

従来の計測器以外の方法とその利点

通常のセンサー以外に計測する方法を解説します。

モーションキャプチャ

モーションキャプチャシステムは、複数のカメラを設置し、計測対象に反射マーカーを取り付けることで、3次元の座標計測ができる技術です。

反射マーカーには配線等が必要ないため、計測したい場所にマーカーを置くだけで、リアルタイムに計測が可能です。

また、ほかの計測手法と比べると一度の実験で、計測対象すべての挙動を解析することが可能なので、実験時間の短縮などに効果的です。

弊社では、VENUS3D Rシステムとして紹介しており、様々な場面で活用いただいています。

画像解析

画像解析も、非接触手法として、主に人間の目で見えない高速な振動を可視化及び解析するために使用されています。

とくにハイスピードカメラは、非常に短い時間間隔で高解像度の画像を連続して撮影する能力があり、そのため振動計測にも有用です。

具体的には、撮影された画像群から特定の特徴点を選び出し、専用のソフトウェアで追尾させることでその特徴点がどのように動いているのかを解析します。

特徴点とは、例えば構造物の隅や、明るさや色が顕著に異なる部分、特定のマーカーなど、画像内で容易に識別できる点のことを指します。

特徴点の位置データを時間とともにプロットすることで、その動きが周期的か、ランダムな振動をしているのか、あるいは特定の方向に動いているのかなどを詳細に調べることができます。

さらに、これらのデータをFFT(高速フーリエ変換)解析にかけることで、振動の周波数成分を明らかにすることが可能です。

 

 

まと

振動計測は、製品の開発から工場・建築現場といった様々な場面で日常的に行われています。

振動計メーカーの提供情報も参考にしながら、用途や利用環境に合った適切な振動計測を行いましょう。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
可視化・解析に必要な最適な製品をご提案します。まずは相談してみる