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放射率とは?原理から計測方法まで徹底解説

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放射率とは?原理から計測方法まで徹底解説

温度計測の場面でよく聞く「放射率」という単語。

温度計測に影響を及ぼすことは知っているけど、実際なにを指していて、どう変化するのかまでは知らない人も多いのではないでしょうか。

本記事では、放射率に関して、単語の意味から放射率を回避して温度計測する方法まで解説します。

放射率とは何ですか?

放射率とは、物質が放射する熱放射の強さを表す物理量です。

放射率とは、黒体からの熱放射を1とした場合の一般物体からの放射のしやすさを0~1で表したものになります。黒体とはあらゆる光を完全に吸収する仮想の物体であり、逆にすべての光を完全に反射する物体は放射率が0となります。

物質の種類や表面状態、温度などによって異なり、同じ物体でも粗い表面は放射率が高く、光沢のある表面は放射率が低くなります。

放射率の重要性

正確な放射率が設定されていない場合、温度計測の精度が低下し、誤った温度計測結果を取得してしまう可能性があります。

これは、特に高精度な温度計測が必要となる金属加工や半導体製造などでは不具合発生の大きな要因となりかねません。

放射温度計の位置を変えてしまった、別の物体の放射率を設定していたなど、ヒューマンエラーを防ぐように周知が必要です

放射率の単位と計算式

放射率は、単位を持たない物理量で、1を最大値とした比率で表されます。
放射率は計算では算出できません。サーモビューワでは、文献を参照するか熱電対等で温度を測定し、算出値がその温度になるように放射率を設定します。

なお、放射率に単位はありませんが、放射の強さを表す物理量はW/m2で表されます。

放射率・反射率・吸収率の関係

放射率・反射率・吸収率は、物質が電磁波を受け取ったときの挙動を表す物理量です。

物質が受け取った電磁波のうち、放射・反射・吸収のいずれかに分配されることになります。

放射率は、物質が放射する熱放射の強さを表し、反射率は物質が光を反射する強さを表します。一方、吸収率は物質が光を吸収する強さを表します。これらの物理量は以下のような関係があります。

放射・反射・吸収の関係

透過率+反射率+吸収(放射)率=1

 

放射率を調べる方法

放射率を調べるには、主に2つの方法があります。

  • 研究データから調べる
  • 装置を使用して計測する

 

研究データから調べる

放射率は、研究データから調べることができます。

放射温度計のメーカーカタログには、参考となる放射率が掲載されています。

また、放射率のデータベースもあり、それらを利用することで、放射率を調べることができます。

ただし、後述の通り計測時に定められた一定の条件下での放射率であるため、実際の計測とは異なる場合があります。

装置を使用して計測する

放射率を正確に測定するためには、放射率測定器を使用します。

放射率測定器には、赤外線カメラを使用する方法や、対象に一定の熱エネルギーを加えて計測する方法接触式熱放射計などがあります。

これらの装置を使用することで、物質の放射率を直接測定することができます。 

また、放射率は、温度によって変化するため、測定時には物質の温度も考慮する必要があります。

放射率が変わる条件

放射率は様々な条件で変わりますが、代表的な例を3つ挙げます。


 

物体の温度

物体の温度が高くなるにつれて、放射率は高くなる傾向があります。これは、温度が上がると物質から放出される熱放射が増えるためです。一般的に、温度が上昇すると、物質の分子や原子が活発になり、熱エネルギーを放出するため、放射率が高くなります。 

物体の温度が低い場合、放射率は低くなります。低温の物体は、熱エネルギーを放出する量が少ないため、放射率が低くなります。例えば、宇宙空間の温度は非常に低く、物体の表面温度が低い場合、熱放射が少なく、放射率も低くなります。

表面状

物質の表面状態が放射率に影響を与えます。表面が粗い場合、放射線は反射されにくく、吸収率は高くなります。一方、表面が滑らかな場合、放射線は反射されやすく、吸収率は低くなります。また、表面が黒く塗られている場合、放射率は高くなります。このように、表面の状態は放射率に大きな影響を与えます。

物質の材質は、放射率に大きな影響を与えます。各物質は、放射線の波長に応じた異なる放射率を持っています。一般的に、金属は放射率が低く、陶器やガラスは放射率が高くなります。また、温度が上がるにつれて、放射率は高くなる傾向があります。これは、温度が上がると物質から放出される熱放射が増えるためです。

 

放射率補正をせずに温度計測をする方法

ここまで、温度計測には放射率のパラメータが重要であることを解説してきました。

放射率補正を行わずに温度計測する方法もあります。それが、2色式アルゴリズムを使用した温度計測です。

2色法は、異なる2波長での放射エネルギーを検出し、その比から温度を計算する温度計測法です。

同じ温度でも、放射率によってエネルギーが異なる場合でも、2つの波長帯でのエネルギーは同様に増減するため、その比は変化しません。

たとえば、通常、放射率が異なり同時計測ができない2種の金属の同時計測が可能です。

〇〇の様子

▲一般的なサーモビューワーで計測した結果。はんだごての先端にあるネジ部分は筒部分と異なる材質=放射率が異なるため、先端だけが非常に高温であるように見える。

 

〇〇の様子

 ▲2色式アルゴリズムを採用する温度計測システムThermera(サーメラ)での温度計測結果。

右が温度計測後の分布で、実際にはネジの部分もムラなく加熱されていることがわかります。

このように放射率により左右されない温度計測ができます。

商品画像

2色式熱画像計測システム
Thermera

Thermera(サーメラ)は、2色式アルゴリズムを採用した温度計測システムです。
放射率による補正をキャンセルし精度の高い温度計測ができます。

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