製品の耐衝撃設計において、自由落下による衝突瞬間の挙動を定量化することは、筐体の破損予測や内部基板への影響を評価する上で不可欠です。
スマートフォンのような精密機器が床面に衝突する際、衝撃は極めて短時間に集中し、数千Gに達する加速度が発生することもあります。
本事例では、スマートフォンの自由落下試験をハイスピードカメラPhantom Miro C321で撮影し、画像解析ソフトウェアMercuryを用いて、衝突時の速度変化および加速度の算出を行いました。
自由落下試験の解析における課題
自由落下試験の解析には、以下の課題が存在します。
- 衝突の瞬間に発生する極めて急激な速度変化を捉えるための時間分解能が不足する。
- 衝撃による製品の跳ね返りや回転を伴う複雑な挙動を正確に追跡する必要がある。
- 従来の加速度センサー(接触式)では、センサー自体の質量が試験体に影響を与えたり、配線が挙動を妨げたりする可能性がある。
本手法による解決策
これらの課題に対し、2,000fpsの高速度撮影とMercuryによるサブピクセル精度のトラッキングを組み合わせることで、非接触での高精度な解析を実現しました。
Mercuryは、画像内のコントラストや微細な特徴点を自動追尾し、その変位データから速度および加速度を算出します。
1,000分の1秒単位で位置を特定できるため、等速運動から衝撃による急停止、そしてリバウンドに至るまでのプロセスを連続的なデータとして抽出可能です。
本手法のメリット
本手法により、スマートフォンの特定の部位(コーナー部や液晶面など)が受ける衝撃負荷を、センサーを設置することなく多点同時に数値化できます。
これは、シミュレーション結果の妥当性確認(V&V)や、構造上の弱点特定に大きく寄与します。





