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引張試験とは?必要性や方法について解説

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引張試験とは?必要性や方法について解説

引張試験とは、材料や製品の耐久性や強度を評価するための基本的な試験方法の一つです。 製造業だけでなく、研究開発や品質管理など幅広い分野で活用されています。

近年、技術の進歩により試験装置や手法の選択肢が増え、より正確な結果が求められるようになっています。それに伴い、製造業者には試験に関する基礎知識の習得が一層求められています。

本記事では、「引張試験とは何か」という基礎から、その必要性、具体的な実施方法について解説します。

引張試験とは

引張試験とは、材料や製品の耐久性や強度を数値で評価するために行われる基本的な試験方法の一つです。 圧縮試験、曲げ試験、剥離強度試験、摩擦・摩耗試験などとともに、荷重測定の一つに位置付けられます。

製造業界では、製品が外部からの引張力(材料や製品を引っ張る力)に対して、どのような反応を示すかを確認し、安全性と信頼性を保証するために不可欠です。

引張試験は、材料が破断に至るまでの耐力や伸びなどの特性を数値的に測定し、品質管理や設計の基礎データとして広く利用されています。

引張力とは

引張力とは、物体を引っ張る方向に働く力のことです。 材料に引張力を加えると、内部で「応力」と「ひずみ」が生じます。応力とは、材料内部で単位面積あたりにかかる力を指し、ひずみは材料の形状変化を示す割合です。

引張試験では、材料にかかる応力とひずみの関係を「応力-ひずみ曲線」として記録し、材料がどの程度の引張力に耐えられるかを評価します。この試験により得られる引張強度や応力-ひずみ特性は、製品設計や品質基準の設定において重要な役割を果たします。

引張試験は、製造プロセスにおける品質評価や耐久性の確認に欠かせない標準的な試験方法であり、多くの産業分野で広く採用されています。

引張試験をする必要性・利用目的

製品や材料が使用中にどの程度の負荷に耐えられるかを確認するためには、引張試験を通じて強度や破断点、伸びといった特性を明らかにする必要があります。

引張試験によって得られるデータは、各種製造業界での使用に適した製品設計や品質基準の設定に役立ちます。そのため、引張試験は品質管理や安全性の確保、さらには製品の信頼性評価において重要な役割を果たしています。

使用目的は様々ですが、主に以下のように分類されます。

 

  • 材料の基本特性を評価するため

    引張試験では、材料が引張力に対してどのように反応するかを調べ、以下のような基本的な特性を測定します。

    • 引張強度:材料が破断するまでに耐えられる最大の応力。
    • 弾性率:材料がどれだけ弾性的に変形するかを示す値。
    • 伸び率:材料が破断するまでにどれだけ伸びるかを示す割合。
    • 破断点:材料が壊れる瞬間の応力とひずみの値。
  • 設計や製品開発の基礎データを得るため

    材料の引張特性を把握することで、製品設計や構造計算に必要な基礎データを提供します。これにより、製品が想定される負荷条件下で安全かつ効率的に機能することを確認できます。

  • 品質管理と製品の信頼性保証のため

    製品が一定の品質基準を満たしているかを確認するために、製造過程で定期的に行われます。これにより、製品が要求される強度や耐久性を持っていることを保証します。

  • 材料選定や比較のため

    異なる材料や加工条件の比較に役立ちます。どの材料が特定の用途に最適であるかを判断するために引張試験のデータが使用されます。

  • 故障解析やトラブルシューティングのため

    製品や部品が破損した原因を特定するために行われることもあります。引張試験の結果は、設計の不備や材料の不適合を特定するのに役立ちます。

引張試験でわかること

引張試験を行うことでわかることを、以下にまとめます。

 

  • 引張強度

    意味:材料が破断するまでに耐えられる最大の応力(単位:N/m²やMPa)。

    用途:製品が想定される引張力に耐えられるかを判断する指標。

  • 弾性率

    意味:材料が弾性範囲内で変形する際の応力とひずみの比率(応力-ひずみ曲線の傾き)。

    用途:材料の剛性(硬さ)を示し、構造物のたわみや振動の評価に使用。

  • 破断点

    意味:材料が破断する瞬間の応力とひずみ。

    用途:破壊の限界を把握し、安全性や耐久性を確認するための重要なデータ。

  • 伸び率

    意味:材料が破断するまでにどれだけ伸びたかを示す割合(%)。

    用途:材料の柔軟性や延性を評価。塑性変形の大きさを知るために使われる。

  • 降伏強度

    意味:材料が弾性変形から塑性変形に移行し始める応力。

    用途:永久変形を避けるための設計基準に使用。

  • 応力-ひずみ曲線

    意味:応力とひずみの関係を示すグラフ。

    用途:弾性限界、塑性変形、降伏点、最大強度、破断点など、材料の全体的な挙動を理解。

  • 弾性限界

    意味:材料が弾性的に変形する最大の応力。

    用途:弾性範囲内での使用条件を設定する指標。

  • 靭性

    意味:材料が破断までに吸収するエネルギー量(応力-ひずみ曲線の面積)。

    用途:材料が衝撃や変形にどれだけ耐えられるかを評価。

  • 破断エネルギー

    意味:材料が破断するまでに吸収したエネルギーの総量。

    用途:破壊のプロセスや安全性の検証に役立つ。

  • ポアソン比

    意味:引張力を加えた際の横方向変形と縦方向変形の比率。

    用途:材料の体積変化や異方性を評価。

これらの結果を基に、製造工程における安全性の確認や、製品の設計段階での仕様の適合性を検証し、製品の信頼性向上を図ることができます。 引張試験は、製品の品質保証と製造業の競争力向上に不可欠な要素となっているのです。

引張試験の方法

引張試験は、次の手順で実施されます。

1.試験片の準備

  1. 試験規格の確認

    ASTM、ISO、JISなど、目的に応じた試験規格を選定します。 規格には試験方法、試験片の形状、測定条件などが定められています。

  2. 試験片の準備

    規格に基づいた形状(丸棒、平板など)と寸法で試験片を作成します。 切断や加工によって試験片の品質が損なわれないよう注意します。 表面処理:必要に応じて、試験片の表面を仕上げます(バリ取り、研磨など)。

  3. 試験機の調整

    引張試験機を準備し、荷重センサーやひずみゲージなど取付け、設定を行います。

2.試験の実施

  1. 試験片のセット

    試験片を引張試験機のチャックに固定します。中心がずれないように注意します。 試験片の固定による初期変形を防ぐため、均等な締め付けが重要です。

  2. 試験条件の設定

    引張速度:規格や目的に応じた引張速度を設定します。 一般的には、変形速度や荷重速度で制御します。 温度:必要に応じて、環境温度(室温、低温、高温など)を設定します。

  3. 試験の開始

    試験片に引張力を徐々に加えます。荷重と変形(ひずみ)をリアルタイムで記録します。 試験中、荷重とひずみの関係を「応力-ひずみ曲線」として可視化します。

3.試験の終了

  1. 破断の確認

    試験片が破断した時点で試験を終了します。破断後の試験片の状態を観察します(破断面の形状や位置など)。

  2. データの取得

    応力、ひずみ、破断点、引張強度、伸び率などのデータを記録します。

4.試験データの分析

  1. 曲線の解析

    応力-ひずみ曲線から以下の特性を抽出します。

    • 降伏強度
    • 引張強度
    • 破断点
    • 弾性率
    • 伸び率
  2. 材料特性の評価

    試験結果を規格や設計基準と比較して、材料が求める特性を満たしているか確認します。

まとめ

引張試験は、製品や材料の品質管理、信頼性向上、設計データの提供において、企業の競争力を支える重要な役割を果たします。 特に、耐久性や安全性が求められる製造業では、引張試験を通じて製品の強度や弾性、破断特性を正確に評価することが不可欠です。 この試験結果を基に、設計の最適化や材料選定を行い、顧客に高品質な製品を提供することが可能になります。

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