ステンレス鋼の引張試験におけるビデオ伸び計とリアルタイムひずみ計測システムMercuryの比較

材料の力学特性評価において、伸びの計測は最も基本的な項目です。一般的に、非接触で伸びを計測する手法としてビデオ伸び計が用いられます。ビデオ伸び計は、試験体表面に付与した標点マーカーをカメラで追跡し、その2点間の距離変化をリアルタイムで変位として出力する装置です。接触式の伸び計で懸念される、試験片への負荷や破断時の衝撃による破損リスクを回避できるため、多くの研究開発現場で標準的に採用されています。しかし、幅4mmという小規模な試験体において、局所的なひずみ挙動までを詳細に捉えるには、点間計測のみでは限界がありました。
本事例では、幅4mmのステンレス鋼試験体を用い、従来のビデオ伸び計とデジタル画像相関法(DIC)をベースとしたリアルタイムひずみ計測システムMercuryの計測精度を比較検証しました。500万画素の高解像度カメラを用い、5fpsのサンプリング速度で同期撮影を行った結果、Mercuryによって算出された2点間距離のデータはビデオ伸び計の出力とグラフ上でぴったりと一致しました。これにより、Mercuryがビデオ伸び計と同等以上の高い計測精度を有していることが確認されました。

ビデオ伸び計は、1fps のカメラで試験体の上下に貼ったひし形シールの2点間距離を計測することで、変位を計測できます。
一方、Mercury は5M ピクセルのカメラで画像中の2 点間の任意の特徴点の変位が測れます。今回は伸び計と同様に、ひし形の2 点間距離を計測しました。
結果は以下の通りです。
ぴったりと一致しています。
さらにMercury ではひずみ計測もリアルタイムで可能です。
Mercuryを導入する最大の利点は、ビデオ伸び計のような2点間の変位計測に留まらず、試験体表面のひずみ分布を面としてリアルタイムに可視化できる点にあります。これまでのDIC解析は、試験終了後にPCで長時間の演算処理を行う後解析が一般的でしたが、Mercuryは撮影と並行してひずみ解析を実行します。これにより、以下のような研究開発における効率化が実現します。
- 試験を中断することなく、その場でひずみが集中している箇所や破断予測部位を特定できる
- 解析待ち時間を排除し、試験終了直後に詳細なデータを確認できるため、実験サイクルを大幅に高速化できる
- 予期せぬ変形挙動が発生した際、その場で試験条件の修正や再試験の判断が可能になる
今回の検証により、Mercuryはビデオ伸び計としての高精度な伸び計測機能を備えつつ、高度な面内ひずみ解析をリアルタイムで提供できることが確認されました。研究開発の現場において、材料特性の深い理解と、評価業務の圧倒的な時間短縮を両立するソリューションとして極めて有効です。






