高空間解像度を実現するPhantom-UVシリーズ - 紫外線照明と高速撮影の融合

紫外線(UV)は、私たちの生活の中でさまざまな場面で利用されています。例えば、UVカットレンズを使ったメガネは紫外線を遮り、目を守るために欠かせません。また、日焼けの原因としても広く知られ、スキンケアや日焼け止め製品でも重要な役割を果たしています。さらに、ネイルジェルを固めるためのUVライトや、紫外線を利用した殺菌装置など、美容や衛生の分野でも広く使われています。
一方で、紫外線は産業・研究用途でも重要な役割を担っています。例えば、特殊なインクを固めるためのUV硬化技術や、半導体製造におけるリソグラフィー、さらには細かい構造を観察するための紫外線顕微鏡などの利用がされています。紫外線の特性を活かした観察技術は、微細な構造を捉え、可視光では得られない情報を取得するために非常に有効です。
今回の試験では、セラミックスを小型炉に入れ、1000℃まで加熱した状態で引っ張り試験を実施しました。このような高温環境下でも、材料の微細な挙動を詳細に観察するために、波長365nmのバンドパスフィルタを取り付けて、セラミックスが発する放射光を除去しています。このように紫外線照明とUVハイスピードカメラの組み合わせにより、通常の可視光観察では得られない現象を2つの点で特徴的な可視化を行いました。
1. 波長の短さを活かした、微細な構造の観察
紫外線の波長は可視光よりも短いため、光の回折が少ないのが特徴です。そのため、可視光を使った時と比べて、細部まで鮮明に捉えることが可能です。これにより、表面の微細なひずみや小さな亀裂など、可視光では見逃されがちな現象の可視化が可能になりました。
2. 輻射を避けた選択波長観察
今回の試験では、セラミックスを1000℃にまで熱しています。そのため、セラミックスは可視・赤外領域に放射光を発します。これらを避けて観察するのに、波長の短い紫外線を用いるのはとても良い方法です。
紫外線を照明として用い、特定の波長のみを捉えるバンドパスフィルタを使用することで、温度が上がった際に、放射される光の影響を除去し、紫外領域のみを取り出した映像の撮影が可能になりました。これにより、高温下における、材料の劣化試験や、変形解析が求められる場面でも、安定したデータを取得できるようになります。
Phantom-UVモデルは紫外領域に感度を持つ唯一のハイスピードカメラです。高温下での材料の高速度現象・紫外領域の高速度現象にはPhantom-UVをぜひお試しください。デモンストレーションやご相談をご希望の際は、お手軽にお問い合わせください。
撮影協力:
国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (NIMS)
垣澤 英樹 様
使用機材
- Phantom T3610-UV
- UVLED照明 波長365nm
- バンドパスフィルタ:波長365nm
撮影条件
- カメラ:Phantom T3610-UV
- 解像度:512×380 ピクセル
- 撮影速度:100,000 fps
- 露光時間:9 μs
- ゲイン:4
高速現象の可視化・解析はノビテックにお任せください。
ノビテックでは、高速現象の可視化・解析に最適な動作計測機器、ソフトウェアを取り扱っています。
画像計測ノウハウを持ったスタッフに、ぜひお気軽にご相談ください。