50口径(12.7mm)という極めて大きな運動エネルギーを持つ弾丸が物体に衝突する際、その物理現象は瞬時に完結します。特に、弾道試験用ゲルで作製された人体頭部模型への衝突では、弾丸の貫通、衝撃波の伝播、そして弾道空洞(一時空洞)の形成から模型の崩壊に至るまで、ミリ秒以下の時間領域で劇的な変化が生じます。これら非定常な高速現象を詳細に記述し、防弾性能の評価や外傷力学の知見を得るためには、超高速なサンプリングレートと高解像度を両立した可視化技術が不可欠です。
本事例では、ハイスピードカメラを用いて、弾丸が人体頭部模型に衝突・貫通する一連のプロセスを可視化しました。ハイスピード撮影により、以下のような物理的挙動を詳細に把握することが可能です。
- 飛翔する弾丸の回転や飛行速度等の観察
- 弾丸の通過に伴い、内部圧力が急激に変動することで発生する一時空洞の膨張と収縮
- ゲルの弾性限界を超えた応力による、顔面模型の組織的破壊と飛散プロセスの時系列変化
本撮影では、衝突時の微細な変形を正確に捉えるため、高画素かつ超高速な撮影性能を持つPhantom TMXシリーズなどが活用されます。例えば、10万fpsを超えるフレームレートであっても、十分な解像度を維持することで、弾丸の姿勢変化(タンブリング)や、ゲル表面に発生するき裂の進展速度を定量的に解析できます。
また、爆発的な破壊を伴う本事象においては、飛散物による遮蔽や発光が課題となりますが、Phantomシリーズの持つ高感度センサーと広いダイナミックレンジは、低露出時間でもノイズを抑え、破壊の細部まで鮮明に描写します。これらの視覚データは、DICによるひずみ解析にも応用することが可能です。





