キャビテーションの可視化 どの瞬間に破壊へつながるのか

水を満たした一升瓶の注ぎ口側に強い衝撃を加えると、瓶内部の液体中に急激な圧力変動が生じ、キャビテーションが発生します。
さらに、発生したキャビテーション気泡が成長・崩壊する過程では、局所的な圧力波や衝撃波を伴い、周囲の液体や容器壁に大きな負荷を与えることがあります。
本事例では、Vision Research社製ハイスピードカメラ Phantom T3610 カラーモデルと Phantom TMX7510を用い、一升瓶内部で発生するキャビテーションの発生、ひび割れの進展、瓶が破壊に至る全体挙動、さらにキャビテーション発生時に見られる衝撃波を高速度撮影しました。
まず、Phantom T3610 カラーモデルを用いて、1280×800 pixels、38,000fpsで瓶が割れるまでの全体挙動を撮影しました。
次に、同じ撮影条件のまま撮影範囲を拡大し、瓶のひび割れが進展していく様子や、液体内部でキャビテーションが発生する様子をより詳細に観察しました。
最後に、Phantom TMX7510を用いて、640×300 pixels、300,000fpsでキャビテーションの発生と、それに伴う衝撃波の発生を撮影しました。
キャビテーション崩壊時に圧力波や衝撃波が発生し、それが振動、騒音、壊食、破壊挙動などに関係することは、流体機械や水中現象の研究分野でも重要なテーマとされています。
また、キャビテーションや衝撃波は、液体の密度変化による屈折率変化として、バックライト撮影やシャドウグラフ系の撮影で可視化されることがあります。
衝撃によって液体内部に生じるキャビテーション
キャビテーションは、液体中の局所圧力が低下することで気泡が発生し、その後の圧力回復によって気泡が急激に崩壊する現象です。
ポンプ、バルブ、配管、プロペラ、ウォータージェット、油圧機器など、流体を扱う多くの工業分野で問題となる現象であり、壊食、振動、騒音、性能低下の要因として知られています。
今回の撮影では、水を満たした一升瓶の注ぎ口側に強い衝撃を加えることで、瓶内部の水に瞬間的な圧力変動を発生させました。
その結果、瓶内部ではキャビテーションが発生し、時間経過とともにひび割れの進展や瓶の破壊へ至る様子が確認されました。
このような現象は肉眼では一瞬で完了してしまうため、通常のカメラでは発生順序や破壊に至るメカニズムを捉えることが困難です。
ハイスピードカメラを用いることで、衝撃入力直後の液体内部の変化、キャビテーションの発生、ひび割れの進展、瓶の破壊へ至るプロセスを時系列で観察できます。
T3610カラーで捉えた瓶全体の破壊挙動
まず、瓶が割れるまでの全体挙動を観察するため、Phantom T3610 カラーモデルを用いて、1280×800 pixels、38,000fpsで撮影しました。
この撮影条件では、一升瓶全体の挙動を視野に収めながら、衝撃入力後に瓶内部で発生する変化と、瓶が破壊に至るタイミングを同時に確認できます。
衝撃が加わった直後、瓶内部の液体には急激な圧力変動が生じ、その後、瓶の破壊へとつながる挙動が確認されました。
破壊現象の解析では、最終的に割れた状態だけでなく、破壊に至る直前に内部でどのような現象が発生しているかを把握することが重要です。
38,000fpsの高速度撮影により、衝撃入力、液体内部の変化、ひび割れの発生、破壊進展の時間関係を確認できます。
また、カラーモデルを使用することで、瓶、液体、背景、ひび割れの見え方を直感的に把握しやすく、現象全体の説明やデモンストレーション用途にも適しています。
T3610カラーによる拡大撮影で確認したひび割れとキャビテーション
次に、同じくPhantom T3610 カラーモデルを用い、1280×800 pixels、38,000fpsの撮影条件で撮影範囲を拡大しました。
これにより、瓶がひび割れていく様子や、液体内部でキャビテーションが発生する様子をより詳細に観察しました。
全体撮影では、瓶全体の動きと破壊のタイミングを把握できます。
一方で、拡大撮影では、ひび割れがどの位置から発生し、どの方向へ進展していくのか、またその前後で液体内部にどのような変化が生じているのかを確認しやすくなります。
今回のように、同じ撮影速度と解像度で視野を変えて撮影することで、全体挙動と局所挙動を分けて観察できます。
これは、破壊現象の起点や進展過程を確認するうえで有効です。
TMX7510で捉えたキャビテーションと衝撃波
最後に、キャビテーションの発生と、それに伴う衝撃波の発生をより高い時間分解能で観察するため、Phantom TMX7510を用いて、640×300 pixels、300,000fpsで撮影しました。
キャビテーションの発生や崩壊に伴う圧力変動は、非常に短時間で進行する高速現象です。
数万fpsの撮影では全体挙動や破壊の流れを把握できますが、衝撃波のように短時間で伝播する現象を詳細に捉えるには、さらに高い撮影速度が必要になります。
今回の撮影では、640×300 pixels、300,000fpsで撮影することにより、キャビテーションが発生する瞬間と、そこから波面状の変化が伝播していく様子を確認しました。
これは、キャビテーションに伴って発生した圧力波、または衝撃波を可視化したものと考えられます。
バックライト照明で撮影すると、水中の密度変化によって屈折率が変化し、その変化が画像上の明暗差として現れることがあります。
キャビテーションや衝撃波のような現象は、肉眼では確認できない微小かつ高速な変化であっても、適切な照明条件と高速度撮影を組み合わせることで可視化できます。
Phantom TMX7510は、今回のようなキャビテーション、衝撃波、放電、破壊、噴霧、燃焼、材料衝撃試験など、ナノ秒からマイクロ秒オーダーで進行する現象の可視化に有効です。
撮影条件
| 撮影内容 | 使用カメラ | 解像度 | 撮影速度 | 撮影目的 |
|---|---|---|---|---|
| 瓶が割れるまでの全体挙動 | Phantom T3610 カラーモデル | 1280×800 pixels | 38,000fps | 一升瓶全体の破壊挙動、破壊タイミング、現象の時系列把握 |
| ひび割れの進展とキャビテーション発生 | Phantom T3610 カラーモデル | 1280×800 pixels | 38,000fps | ひび割れの発生位置、破壊進展、液体内部でのキャビテーション発生の観察 |
| キャビテーション発生と衝撃波発生 | Phantom TMX7510 | 640×300 pixels | 300,000fps | キャビテーションの発生、圧力波または衝撃波の伝播、微小領域の高速可視化 |
研究開発用途での有効性
本事例は、一升瓶を用いた可視化デモでありながら、工業的には以下のような研究開発テーマと深く関係します。
- ポンプ、バルブ、配管内で発生するキャビテーション壊食の解析
- 液体衝撃、ウォーターハンマー、圧力波伝播の可視化
- 水中衝撃波、気泡崩壊、マイクロジェット挙動の観察
- 材料、容器、透明体の衝撃破壊挙動の解析
- 数値解析、CFD、構造解析との比較検証用データ取得
- 肉眼では確認できない破壊直前現象の時系列評価
特にキャビテーションは、発生そのものだけでなく、気泡が崩壊する瞬間にどのような圧力波を発生させ、それが周囲構造にどのような影響を与えるかが重要です。
全体挙動と局所挙動を段階的に撮影することで、破壊に至る流れと、局所的な高速現象の両方を把握できます。
T3610による広視野・高解像度の撮影では、瓶全体の破壊挙動やひび割れの進展を観察できます。
一方、TMX7510による超高速撮影では、キャビテーションや衝撃波のような短時間現象を詳細に観察できます。
目的に応じて撮影範囲、撮影速度、照明条件を切り替えることで、現象の全体像と局所的な発生メカニズムを組み合わせて評価できます。
まとめ
本撮影では、Phantom T3610 カラーモデルと Phantom TMX7510を用いて、水を満たした一升瓶内部で発生するキャビテーション、ひび割れの進展、瓶が破壊に至る一連の高速現象、さらにキャビテーションに伴う衝撃波を可視化しました。
Phantom T3610 カラーモデルでは、1280×800 pixels、38,000fpsで瓶が割れるまでの全体挙動を撮影し、さらに同じ撮影条件で拡大撮影することで、ひび割れの進展やキャビテーションの発生をより詳細に観察しました。
Phantom TMX7510では、640×300 pixels、300,000fpsで撮影することにより、キャビテーションの発生と、それに伴う圧力波または衝撃波の発生を捉えました。
キャビテーションや衝撃波は、流体機械、配管、バルブ、材料破壊、液体衝撃、ウォータージェットなど、多くの研究開発分野で重要な現象です。
ハイスピードカメラによる可視化は、これらの瞬間的な現象を時系列で把握し、破壊や壊食、振動、騒音などの原因究明に役立ちます。
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