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宇宙環境での溶接を実現するための研究

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宇宙環境での溶接を実現するための研究

本記事では、ハイスピードカメラPhantomのメーカーであるVision Research社が公開した、
NASAとオハイオ州立大学による宇宙溶接研究事例を紹介します。

 

 

 

背景として、月面基地や大型宇宙構造物を現地で建設したり機体や衛星を補修するには、地球から完成品を運ぶだけでは対応しきれません。

宇宙空間で金属部材を接合できれば、構造物の大型化と長期運用に新しい選択肢が生まれます。

オハイオ州立大学の溶接工学チームはNASAなどと連携し、真空と減重力を再現した環境でレーザー溶接を研究しています。

同チームが溶融池の挙動を観察するために採用したのが、ハイスピードカメラPhantom VEO 1310Sとパルスレーザー照明CAVILUXを組み合わせた撮影システムです。

 

宇宙での溶接の難しさ

宇宙環境は、地上と大きく異なります。

 

真空だと、通常空気中の酸素と反応する酸化反応の影響が抑えられます。

また、重力が異なります。火星では地上の0.38倍、月では0.17倍です。そのため、地上で溶接をするときと比べてスパッタの飛散や溶け込み時の重力影響が変わります。

これまで研究れてきた溶接理論やシュミレーションモデルは、基本的に地上のデータにmとづいて作られたため、宇宙では溶接にどのような影響があるか評価する必要があります。

 

撮影方法

レーザー溶接には、2つの撮影を難しくする要因があります。

①急速に溶融し、凝固するため、10,000fps程度のハイスピードカメラが必要

②レーザーやプルームによってハイスピードカメラであっても撮影が難しい

 

1つ目の課題だけであれば、ハイスピードカメラを用いるだけで良いですが、2つめの課題である、発光によって実際の撮影が難しいということは簡単に解決できません。

そこで研究チームは、ハイスピードカメラの露光に合わせて光るパルスレーザー照明CAVILUX(波長:810nm)を使用しました。

パルスレーザーを用いることで、露光時間を1μsほどまで切ることができ、ブレのない映像を取得できます。

 

また、810nm以外をカットするバンドパスフィルターを使用することで、加工用レーザーの発光などをカットしています。 1回あたり1μs程度しか光らないため、照明による熱影響を低減できることもメリットとして挙げられます。





 

 

撮影条件

フレームレート:24,000fps

カメラ:ハイスピードカメラPhantom VEO 1310S(モノクロ)

照明:パルスレーザー照明CAVILUX HF 810nm

レンズ:Nikon 200mm F4 2倍テレコンバーター

 

宇宙空間を再現する方法

まず、真空再現については、真空チャンバーを使用することで実現しています。

真空チャンバーを使用すると観察窓越しに撮影する必要があるため、本事例では、200mmレンズに2倍テレコンバーターを取り付けて撮影されました。

また、低重力化での溶接を再現するために、飛行機を放物線状に降下させます。

 

これによって微小重力下になります。この事例では約20秒という短い時間で行われました。

この短い時間で実験を確実におこなうために、低重力区間に入ると自動で実験が行われるようにしました。

 

2回のフライトで合計69回の低重力溶接試験に成功しました。

降下角度を調整することで、月面重力も再現できます。

 

結果

月面重力環境下では、ブローホール、ピットが減った

地上で溶接する場合と比べると、月面重力環境下では、ブローホールやピットといった気孔の発生率が約40%減少しました。

さらに微小な重力環境化では約80%も減少しました。

 


真空ではスパッタが爆発的に発生

通常の環境と比較すると真空環境下ではレーザー照射の初期に爆発的なスパッタ飛散が起きていました。

また、ビードの高さが約0.5mm高く盛り上がる現象が起きていました。

今後の展開

さらに溶接現象の解析を続ける

真空下で溶接ビードが高くなった原因や、気孔(ブローホール、ピット)の量がなぜ減ったのかなどの現象解明を進めていくとしています。

凝固速度の解析では、現在のMATLABによるマシンビジョン解析から、Metaが開発したSAM2という領域抽出モデルを使うことで解析結果の改善を検討しています。

Phantomを放物線飛行に搭載する

現在はPhantomとパルスレーザー照明CAVILUXを放物線飛行による低重力下で使用できていません。

研究チームは課題として、機体の振動による揺れを課題として挙げています。

計測で使用されたPhantom VEO 1310Sは高さ125mm 幅125mm、奥行き140mm 3kgと非常に取り回しがしやすいため、

今後より強固な固定をすることが容易である点も選ばれた理由として挙げられています。

 

温度制御環境下の検証

冷却・加熱ステージを導入し、真空・低重力に加えて「宇宙の極低温・高温条件」が凝固速度や金属組織(結晶粒サイズ・異方性)に与える影響を検証する予定です。

 

まとめとノビテックからのご提案

本研究のように、「超高速現象」「強烈な発光」「長作動距離」「真空・振動等の過酷環境」が複合した計測では、単にハイスピードカメラを設置するだけでは十分なデータが得られません。

カメラの感度・露光タイミングとレーザー照明のナノ秒・マイクロ秒同期、光学フィルターの選定、振動ノイズへの対処など、システム全体での最適化が必須となります。

ノビテックでは、Phantomハイスピードカメラシリーズをはじめ、溶接光を打ち消すパルスレーザー照明CAVILUX、高倍率長作動距離光学系、画像解析ソフトウェアまで、お客様の研究・開発課題に合わせた最適な可視化ソリューションをご提案いたします。

難度の高い可視化課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。



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