野球の投球動作は、高速かつ複合的な運動であり、それを人の目視だけで細部まで正確に確認することは難しいです。また、投球動作を評価する上で球速は非常に重要な指標の一つとなります。球速の向上には、下肢で生み出された運動エネルギーを指先までロスなく伝達する運動連鎖が重要になります。
運動連鎖においては、踏み込み足の接地後に体幹を急激に減速させることで運動エネルギーが上肢へと伝達され、結果として腕が強く加速されるというメカニズムが働きます。そこで、本事例では運動連鎖が効率的に行われているかを客観的かつ簡易的に確認するため、投球方向(Z軸)への体幹の重心加速度と手の重心速度を算出しました。
計測方法
身体に34個のマーカーを貼付し、経験者と非経験者によるシャドーピッチングにより計測を行いました。その後、VENUS3D R上で両者の体幹(TRUNK)の重心加速度と手(HAND)の重心速度を算出し、踏み込み足の接地に時間を合わせて動画を比較しました。
本事例の結果
本事例の測定結果から、経験者は非経験者と比較して、手の重心速度が大きく、体幹の加速度の減速幅が大きいことが確認されました。これらのことから、経験者は踏み込み足から得られる床反力によって体幹の動きを止めることで、その運動エネルギーを効率よく上肢へ伝達していると推察されます。VENUS3D Rは現象を数値化することができ、スポーツバイオメカニクス分野にも貢献します。




