ハイスピードカメラ Phantom UV拡張モデル
ハイスピードカメラ Phantom UV拡張モデル

ハイスピードカメラPhantom UV拡張モデルは従来のセンサー波長感度に加え、紫外域に波長感度をもった拡張モデルです。
紫外~可視光の波長帯に対応し、従来のハイスピードカメラと同様の可視光での使用から、UVレンズと波長フィルタを用いた紫外の可視化まで幅広い活用が可能です。
UV拡張モデルはPhantom TMX 7510 / 6410 / 5010 ・ Phantom T3610 / 2410 / 2110に対応しています。
UV拡張モデルの紹介ビデオ
UV拡張モデルの特徴
- 紫外~可視光の波長帯に感度をもつ拡張モデル
- UVレンズ、波長フィルタを用いた紫外可視化が可能
- 従来のハイスピードカメラと同様の使用が可能


従来の撮影手法(イメージインテンシファイア)との比較

これまでの一般的なハイスピードカメラは、主に人の目で見える可視光の範囲しか撮影できず、紫外線(UV)領域の撮影はできませんでした。 また、これまでUV波長の撮影には「イメージインテンシファイア(I.I.)」という装置が必要でしたが、この装置は取り扱いが難しく、システム全体も大型になりやすいという問題がありました。また、I.I.を使うと映像にノイズが発生しやすいという課題もありました。
Phantom UVシリーズのハイスピードカメラは、UV波長まで撮影可能な特殊なセンサーを搭載しており、OHラジカルなど、これまで撮影が困難だった現象の可視化が可能になりました。
また、I.I.が不要になったため、カメラシステム全体をコンパクトにでき、実験効率も向上します。
UVハイスピードカメラと/I.I. の比較動画
小型モビリティ用水素エンジンの研究
火花点火燃焼のOH発光可視化
- 解像度:512 × 512ピクセル
- 撮影速度:10,000fps
- 露光時間:99.9us
【計測のポイント】
左がUVハイスピードカメラ、右が従来システム(ハイスピードカメラ+I.I.)です。
一見すると右のほうが明るく撮影できているように見えますが、ノイズで輪郭がぼやけており、白飛びも発生しているためしっかりとした形がわかりません。
左は、白飛びすることなく撮影できており、有用なデータとなりました。
UV拡張モデルの使用例
- 燃焼
- OH発光
- レーザー誘起蛍光(LIF)分光法
- 生物医学
- UV-VIS分光法
燃焼 - OH発光の観察
燃焼時のOH発光強度の観察は従来、I.I.(イメージインテンシファイア)が必須でした。
UVハイスピードカメラを使用することで、310nmのバンドパスフィルタを装着してOH発光の観察が可能となり、I.I.での撮影より低ノイズで鮮明な画像が撮影できるようになりました。
燃焼分野における撮影事例
水素燃焼エンジン向け OHラジカルの可視化
- 解像度:1,280 × 800ピクセル
- 撮影速度:10,000fps
- 露光時間:99.9us
【計測のポイント】
エンジン内の水素燃焼の様子をPhantom T3610 UVで撮影しました。I.I.だとノイズが多く、燃焼の輪郭が捉えられません。I.I.なしで310nmバンドパスフィルタを入れる と、鮮明に撮影できました。
画像提供:千葉大学 環境・熱流体エネルギー分野 森吉・窪山研究室
カーボンニュートラルに向けて水素とアンモニアの混合気の燃焼
- 解像度:1,280×800ピクセル
- 撮影速度:500fps
- 露光時間:1.99ms
【計測のポイント】
バンドパスフィルターを装着することで、310nmだけを撮影できます。 外すと、センサーがもつ波長感度のすべての波長における光が撮影でき、通常のモノクロハイスピードカメラとしても使用できます。
画像提供:九州大学 オカフォー先生
バーナー燃焼
(310nmフィルタ装備)
- 解像度:1,280×800ピクセル
- 撮影速度:2,000fps
- 露光時間:490µs
燃焼分野におけるフィルタ有無の比較撮影
OHラジカルの発光は燃焼過程の反応性や温度を直接的に反映します。OH発光強度を計測することで、燃焼効率、燃料の完全燃焼のモニタリングが可能となるだけでなく、燃焼条件の最適化にもつながります。UVハイスピードカメラに310nmのバンドパスフィルタを装着することでOHラジカル発光の計測が可能となります。


放電・プラズマ - UV領域で感度増大
放電・プラズマ分野においてもOH発光強度の観察が可能です。I.I.だと取り回しや焼き付きの懸念がある一方、UVハイスピードカメラなら強力な発光を捉えたり、微弱な発光を捉えたり柔軟に対応できます。通常のモノクロカメラの波長感度に加え、UV波長帯域での感度を有するため、以下の事例のように放電現象を高感度かつ鮮明に撮影できます。
送電線などのコロナ放電研究に向けた可視化
- 解像度:512×256ピクセル
- 撮影速度:230,000fps
- 露光時間:4.1µs
(左図)Phantom UV非対応モデル
(中央図)Phantom UV フィルタなし
(右図)Phantom UV + 310nmバンドパスフィルタ
コロナ放電現象とは、高い電圧がかかる場所で空気中の分子(主に窒素や酸素)が電気の力で引き裂かれて光を放つ現象です。
放電によって放たれる紫外線だけを取り出して可視化しています。
水処理,殺菌のための水中放電の可視化
- 画素数:256x128ピクセル
- 撮影速度:400,000fps
- 露光時間:2.2us
- ビニングモード(※4ピクセルを1ピクセルとして扱うことで撮影速度、ダイナミックレンジを向上させるモード)
310nmの波長にて、I.I.不要で撮影に成功しました。
400,000fps(256x128ピクセル時)と非常に高い撮影速度ながら、ノイズが少ないことで現象を鮮明に撮影できています。
UVシリーズのハイエンドタイプであるTMX 7510-UVであれば、456,000fps(640x256ピクセル)と、5倍の画素数で撮影が可能です。
画像提供:兵庫県立大学 岡先生
核融合反応のためのプラズマ研究
プラズモイド(プラズマの塊) 450,000fps
- 解像度:256×128ピクセル
- 撮影速度:450,000fps
- 露光時間:0.6µs
プラズモイドは、磁気圏に閉じ込められたプラズマの塊です。秒速300kmを超える相 対速度で衝突・合体したプラズモイドが、外部から印加された磁場に対して反磁性方 向に回転する様子が鮮明に撮影されています。本事例ではUV領域だけに限定するた め、310nmのバンドパスフィルタを入れて撮影しました。
画像提供:日本大学理工学部 浅井先生
UVハイスピードカメラ ラインナップ
ハイスピードカメラPhantom TMX 7510 / 6410 / 5010


Phantom TMXシリーズは1,280x800ピクセルで76,000fps(TMX 7510)の撮影が可能なフラッグシップモデルです。
波長感度特性以外のスペックは以下の通常モデルをご覧ください。
ハイスピードカメラPhantom T3610 / 2410 / 2110


Phantom T シリーズは1,280x800ピクセルで38,000fps(T3610)の撮影が可能なTMXシリーズに次ぐ高速モデルです。
波長感度特性以外のスペックは以下の通常モデルをご覧ください。
レンズラインナップ

ニコン社製
UV105mm F4.5
Fマウント

CERCO社製(フランス)
UV45mm F1.8
Fマウント

ニコン社製
UV25mm F2.8
Cマウント
UVハイスピードカメラに関する質問と回答
Q
ほかにどのような機材が必要ですか?
A
UV領域を透過するレンズが必要です。また、UV領域だけを撮影する場合はUV以外をカットするフィルターが必要です。
UVの光が微弱な場合は、微弱な光を増幅するイメージインテンシファイアもご活用いただけます。
Q
カラーカメラはありますか?
A
UV領域を撮影できるカメラはモノクロモデルのみとなります。
計測請負・レンタルのご案内
ハイスピードカメラは、ご購入いただく以外に計測請負、レンタルもございます。
照明、レンズ、三脚、各種解析ソフトウェア、制御PC等も合わせてレンタル可能です。
まずは技術相談からお気軽にお問い合わせください。
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