2色式熱画像計測システムThermera(サーメラ)
Thermera(サーメラ)は、2色式アルゴリズムを採用した温度計測システムです。
放射率による補正をキャンセルし精度の高い温度計測ができます。
ガラス越し・非接触で温度計測でき、温度計測の課題を解決に繋がります。
製造元:株式会社サーメラフォトニクス(日本)
2色式を採用した温度計測システム
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2色式熱画像計測システム Thermeraは、”2色法”の原理を採用した非接触式放射温度計測システムです。
測定対象物に触れることなく、その温度分布を面で画像表示・温度計測が可能です。
選択した2波長の画像を取得できる専用カメラユニットおよび解析ソフトウェアで構成されており、カメラユニットは、高フレームレート撮影、リアルタイム温度計測・出力など、用途に合わせてお選びいただけます。
Thermeraで実現すること
研究開発分野では2色法により材質や実験環境によらず高精度な温度データが取得できるので、様々な場面で活用いただけます。
また、カラーハイスピードカメラと組み合わせることで、高速度現象も温度計測が可能です。
生産現場では、接触式による温度計測が主流ですが、安全性や個人差の問題があります。
Thermeraでは、距離や角度によらず正確な温度データが取得でき、熱源から離れて温度計測も可能なので、様々な課題を解決できます。
観察窓越し可・放射率補正フリー
計測波長が可視光域のため、ガラスを透過し、温度計測が可能です。 2色式のアルゴリズムでは、放射率を必要としません。
トレーサビリティの向上
高精度な2次元温度画像の取得ができることで、常に温度をモニタリングでき、トレーサビリティの向上が見込めます。
生産ライン自動化
Thermeraで計測した温度を既存の制御装置に出力することで、生産ラインの自動化に貢献します。
接触式温度センサーとThermeraの違い
接触式温度センサー
- 点の温度データ
- 汚れや劣化による消耗品
- 温度変化の応答性に物理的な制限がある
Thermera
- 2次元画像+CSVで保存
- 離れた位置から撮影できて劣化しづらい
- 画像で取得するから応答速度が早い
2次元画像+CSVで保存
接触式温度センサを設置する場合、センサ1つで得られる温度情報は1点のため、温度分布情報を得るためには何点ものセンサを設置する必要があり、設置の時間と手間がかかります。
Thermeraは2次元の画像で各画素ごとに温度情報を得ているため、細かい分布を視覚的に確認し、数値データとして保存することが可能です。
また、カメラを設置して画像を撮影するだけなので、データの取得が簡単です。
離れた位置から撮影できて劣化しづらい
接触式の運用は表面温度だけでなく内部温度を計測ができるというメリットがありますが、長期使用しているとセンサ自身の劣化、汚れや錆等による消耗から、買い替えが必要になります。また、接触することによりセンサーへの熱伝導によって対象物の温度が変化してしまうこともあります。
Thermeraは非接触なので対象物に触れることなく計測が可能なため、温度センサに発生するような外的ダメージを受けることがありません。また、対象物に触れずに計測ができるので、熱伝導による影響や接触による汚れも発生しません!
画像で取得するから応答速度が早い
接触式の計測速度は対象物の温度を計測するというよりは、対象物に接して同じ温度になったセンサ自体の温度を計測していることになります。
つまり、接触してから同じ温度まで上昇するのに時間がかかり、温度変化に対しても応答速度に遅れが生じてしまいます。
Thermeraは放射から熱画像データを得ているため、遅れが生じることなくリアルタイムにデータ取得が可能です。
赤外線サーモグラフィとThermeraの違い
赤外線サーモグラフィ
- 正しい放射率補正が難しい
- ほとんどのガラス越しに非対応
- 高価なレンズが必要
Thermera
- 放射率を必要としない2色式アルゴリズム
- 校正を行えばほとんどのガラス越しに対応
- Nikon Fマウントレンズ対応で割安
放射率を必要としない2色式アルゴリズム
Thermeraは、"2色法"を採用している熱画像カメラのため、放射率補正をキャンセルし、補正の必要がありません。
対象物の形状、距離、角度、温度に影響を受けることなくより真値に近い温度データを取得できます。
一般的なサーモグラフィに必要な補正では物体から出ている赤外線放射エネルギーを検出し、その強弱を被検体の放射率で補正、温度値に変換し分布として画像表示しています。
ただし、物体の放射率は下記のような条件により変化します。
- 素子の検出波長域
- 物体の温度
- 物体の材質
- 物体の表面状態(光沢、錆、加工等)
- カメラ~対象物の距離、角度
このため、正しい放射率を把握するのは非常に困難です。
2色法では、異なる2波長での放射エネルギーを検出し、その比より温度値換算されています。同じ温度で放射率によってエネルギーが異なる場合でも、2つの波長帯でのエネルギーは同じ様に増減するため、その比は変わりません。「放射エネルギー」が増減しても、比が変わらなければ限りなく真値に近い温度を算出できるという理論に基づいた温度計測法が「2色法」です。
2色法のアルゴリズムに関する詳しい説明は「Thermera の二色温度計測原理」をご覧ください。
ステンレスの金属板の半分に黒体スプレーを塗布し、金属地肌とスプレーを塗布した部分をバーナーで加熱し温度を同時に計測
2色法による計測結果
放射率が異なってもほぼ同じ温度として計測
撮影協力:株式会社INUI様
サーモグラフィによる温度計測例放射率の高い部分の温度が高く表示される
Thermeraによる温度計測例2色法では明るい部分の温度が一概に高いわけではない→Thermeraなら、放射率がわからなくても温度を算出
2色式原理に関する詳細情報、技術資料はこちら
校正を行えばほとんどのガラス越しに対応
Thermeraでは、可視光~近赤外の波長の光から温度計測を行っているため、窓越し(ガラス・アクリル等)での対象物の温度計測が可能です。※樹脂の場合、一部のモデルでは使用できません。
- 一般的なサーモグラフィでは…遠赤外光(約8~14μm)を受光しているため、ガラス・アクリル等の窓材は透過せず、窓の向こう側の対象物の計測はできません。また、中赤外を使用してガラス越しに計測するには、中赤外線が透過する窓材(石英やフッ化カルシウム等)に変える必要があります。
- Thermeraシリーズの中で、可視域の波長を採用しているモデルでは、可視域の光を受光しているため、人間の目と同じように窓越しの物体を捉えます。
-ガラス越し撮影例-
Nikon Fマウントレンズ対応で割安、測定距離の変更による補正が不要
■ 市販のレンズが使用できます。Thermeraは、熱画像を得るのに可視~近赤外光を使用しているため、民生用カメラに使用される光学レンズが使用できます。 極小の物体から広い視野までレンズにより様々な大きさの対象物に対応可能です。顕微鏡 / ボアスコープ、長焦点顕微鏡、接写、広角、望遠...etc
■ サーモグラフィでの距離による影響は…放射により熱画像データを得ているため、遅れが生じることなくリアルタイムにデータ取得が可能です。一般的に、遠赤外光を使用する赤外線サーモグラフィでは、各レンズごとにワークディスタンス(測定距離)・視野が固定、または光学ズームが可能なタイプで も、各距離ごとに温度較正をする必要があるため 測定対象物までの距離を変えることは難しいのが現状です。 また、赤外線サーモグラフィには赤外光を透過するGe(ゲルマニウム)製レンズを使用するため、1つあたりのレンズ単価も高額です。
■ 2色法を採用しているThermeraでは、ワークディスタンス(測定距離)が変わっても補正なしで同じ温度が算出されますので、1つのレンズで幅 広い用途にお使い頂くことができます。また、汎用レンズを使用でき、測定環境・対象物に合わせて豊富なレンズ類から最適な仕様でお選び頂けます。右図はThermeraにて黒体炉の温度計測を行った例です。上から距離50cm、1m、1.5mで温度の計測を行ったところ、黒体炉内の熱電対温度994℃に対して、上から998℃、997℃、996℃とほぼ同じ値を示しています。Thermeraは、測定距離や角度が変わっても温度値はほぼ一定です!
温度とスス濃度(KL値)計測が両方可能
Thermeraは、金属やガラスなどの固体/液体の温度計測に適したレシオ法と、燃焼の温度計測の手法として特に内燃機関の燃焼温度計測に使用される Hottel & Broughton法の2種類のアルゴリズムを用意しています。Hottel & Broughton法では、ディーゼルエンジンの燃焼等において、温度計測と同時に発生するスス濃度(KL値)の計測が可能です。
カメララインナップ
その他ラインナップ
システム構成
CSV
BMP
TIFF
AVI
高周波誘導加熱の計測事例
高周波誘導加熱による、異種金属の接合を温度計測システムThermeraを用いて温度計測しました。放射率の補正が不要であるため、異なる種類の金属を同時に温度計測することが可能です。
ハイスピードカメラとThermeraで粉塵爆発の温度計測
東京大学 大学院 茂木先生
粉塵爆発現象の温度計測を行いました。
電極間に電圧をかけ、PMMAの粉塵を爆発させた際の温度が計測できています。
カラーハイスピードカメラで2,000fpsで撮影し、Thermera火炎の温度が計測できています。
Q
2色式温度計測の原理・アルゴリズムはどのようなものですか?
A
2色式では、可視光域~近赤外域における2つの波長を選択し、選択した2波長間の熱放射強度比を元に温度を算出しています。このように計測対象の熱放射の「強度」ではなく、「強度比」を元に、基準となる黒体の熱放射強度比を照らし合わせることで、放射率補正をキャンセルして高精度な温度計測が可能となっています。
Q
何℃から2色式温度計測が可能ですか?
A
被検体にもよりますが、最低は300℃以上、最高は5000℃までです。ただし、温度較正用原器の較正範囲が最高2500℃までとなり、それ以上は外挿による推測値となります。
Q
2色法の温度計測システムについてシステムの導入までの予算がないのですが、機材のレンタルは可能でしょうか?
A
可能です。測定対象や温度域、作業環境に応じたシステムをご用意いたしますので、金額及び詳細につきましては、弊社営業担当まで、以下お問い合わせフォームもしくはお電話にて、お気軽にお問い合わせください。
Q
2色式温度計測を行った際の、温度計測結果の精度はどのくらいですか?
A
温度計測結果に対する保証精度は、測定温度の±1%以内です。納入時に校正証明書を発行します。
お電話でのお問い合わせ
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