砂の模型実験による地すべりのDIC解析事例

概要
砂が崩れるとき、どの部分が大きく動き、どの部分に動きが少ないのでしょうか。 本事例では、砂を用いた模型実験で、透明容器内の砂が崩れる様子を撮影し、DIC解析ソフトウェアMercury RTで変位分布と5点の動きを可視化しました。 解析画面では、斜面の表層付近と、底面や左側の壁に近い領域で、動き方が異なる様子を確認できます。
実験と撮影方法
透明容器の一方に砂を入れ、仕切り板で保持した状態から板を引き上げ、砂が空いている側へ崩れる様子を撮影しました。 容器の側面から砂の形状と動きを捉えています。 撮影にはハイスピードカメラPhantom Miro C321を使用しました。

図1:砂の模型実験の準備状態。透明容器の片側に砂を入れ、仕切り板で保持しています。
撮影配置
カメラを透明容器の側面に向けて設置し、仕切り板を引き上げることで生じる砂の動きを撮影しました。

図2:実験装置とカメラの配置。砂が崩れる様子を容器の側面から撮影します。
DIC解析方法
DIC(デジタル画像相関法)は、変形前後の画像の模様を対応づけ、対象の動きや変形を調べる画像解析手法です。 本事例ではMercury RTを用い、撮影画像内の砂の領域を解析範囲として設定しました。 画面に表示されているソフトウェアはMercuryRT x64 3.2です。
解析範囲内には、動きを追うためのポイントプローブT1〜T5を配置しました。 下部から斜面の表層付近まで異なる位置に点を設け、各点の変位をグラフで比較しています。 解析パラメータのうち、画面上の「Template Size」の「In Time」は30×30 pxに設定されています。

図3:砂の領域に設定した解析範囲と、位置による動きの違いを調べる5つのポイントプローブ。
解析結果は、領域内の変位を色で示す分布表示と、各点の変位を示すグラフで確認しました。
結果
砂が崩れる過程では、斜面の表層付近で変位の色表示が変わり、砂の移動に伴ってポイントプローブも移動しています。 一方、底面付近や左側の壁に近い領域では、表層付近と比べて変位の表示が小さい状態が見られます。 容器内の砂全体が一様に動くのではなく、領域によって動きの大きさが異なる様子を捉えています。

図4:砂が崩れる過程の変位分布。表層付近と底面側で、変位の表示に違いが見られます。
各点のグラフでも、変位の増え方に違いが表れています。 ポイントプローブの位置とグラフを併せて確認することで、どの位置の動きが大きいかを画像と対応づけて確認できます。

図5:T1〜T5の変位、および解析領域の変位とX方向、Y方向の変位の平均値を示すグラフ。
活用の可能性
本事例は、砂の模型実験で見られる動きの違いを、変位分布と点ごとのグラフで整理する例です。 模型実験の観察に画像解析を組み合わせる際の参考になります。 変位分布で動きの大きい領域を捉え、ポイントプローブのグラフで位置ごとの変化を比較することで、動画の観察だけでは整理しにくい砂の動きを把握できます。
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